ディライズ:ラストメモリーズ

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「ヒカリは今日もバイトなの?」

「はい。お父さんたちからは止められてますが、借金返済の手伝いをしたいので」

クラスメイトの城戸ヒカリは、私の大切な友達だ。 事業が失敗したことで多額の借金を背負った両親の助けになればと、毎日アル バイトに明け暮れている。

「ですが、アルバイトだけじゃやっぱり返済は難しいですね……学生じゃあ、一気にたくさんのお金を稼げませんし」

「一攫千金かあ。そういえば、この前ネットニュースで見たけど、ドールになれば お金がたくさんもらえるらしいよ」

「ドールって化け物と戦うんですよね? それはちょっと怖いかな……」

「でも、ちょっとわくわくしない? かっこいいし」

「うぅん……かっこいいのは同感ですが、自分がやるとなると……」

「大丈夫大丈夫! 私がヒカリを一人にしないから! 戦う時は一緒だよ!」

「ふふっ。私も、サナが一緒なら心強いです」

大したことのない、何気ない会話のはずだった。 でも、この数日後、私はヒカリと共に、ドール部隊に入隊することになる。 きっかけは、私とヒカリの元にロギオスという組織からドール部隊へのスカウト の通知が届いたこと。 どうやら、私達の身体はドール適性とかいうのが割と高かったらしい。

「ドール部隊に入れば、願いを一つだけ叶えてもらえるらしいんです」

「聞いた聞いた。あれほんとなのかな」

「今のままでは借金も返済できないので、もうこれに賭けてみるしかないかなと……両親にも、もう相談済みです」

「何て言ってたの?」

「凄く、謝られました。迷惑をかけてごめん、と……正直、家族と離れるのは怖いですし、心細いです」

「そっか。でも、大丈夫だよ。私が一緒だからね!」

「サナ……」

「それに――ううん、何でもない。とにかく、これから一緒に頑張ろう!」

「は、はい!」

言いかけた言葉を、私は既の所で飲み込んだ。だって、こんなこと言えないもん。考えて考えて考えて、ドール部隊に入ると決断したヒカリに。――ちょっと楽しみだよね、なんて。